英語学力差はどこから生じるか-入門期のドキュメント【書評】

about meでもひっそりと書いてありますが、私は修士論文をslow learnerと言う英語教育研究では割と傍流に位置するテーマで書きました。このテーマに至ったのは私自身の強烈なインパクトを持った経験から起因しているのですが、それはまた別の機会で述べたいと思います。その話はその話で長くなると思われますので…
本題に戻りますと、そんなたかが修士論文なのですが、先行研究の多くない研究テーマだったためそれなりに先行する論文を読んだつもりでした。ですから、この本を偶然新宿の紀伊国屋書店で発見し、購入した時は自分のリサーチ不足を恥じると共に、私が英語教育に携わるずっと以前から「英語の学力差」についての研究が行われていたのかと、勇気づけられる気持ちも同時に持ちました。

本書で行われた実験は私が個人で行ったリサーチとは比べ物にならない規模と工夫、労力が注がれています。私は規模の小さい、slow learnerのみを狙い撃ちにする形でデータを取ったのですが、本書は年単位で中学校の大きな人数を調査の対象にしています。そしてその手法も、量的はもちろん、質的なデータも多く採録し、分析しています。本の構成としてはドキュメントのような形を取り(実際に副題が「入門期のドキュメント」ですし)英語学力差に迫る過程が綴られています。個人的にこの書でもっとも価値のある情報だったのが、調査を始めて一年目の「失敗」の経験を多くのページを割いて説明されていた事でした。どうしても研究書を世に送り出すとなるとキレイな良いとこどりな形で出したくなるものだと思いますが(少なくとも私はそう考えてしまいます、書いたことはありませんが 笑)そうではなく結果的に支持されなかった仮説も正直に記録されており、研究者達の苦悩とともに様々な実験に至る理路を失敗の過程が描かれていることで理解しやすくしております。そして、その考えの道順が多くの部分で私自身も辿った道順と多くの点で同じであったというのも嬉しいような、何でもっと早くこの本と出会って無かったのかという後悔の念とを両方抱きました。もっと早くこのを本を読んでいればもっと踏み込めたかもしれなかったのに…特にローマ字や英単語の分節化と言った点では偶然とは思えない程にトレースをしております。何だか参考文献に本書を加えておかなければ怒られるんじゃないかと思ってしまう程です 笑

そんな勝手に共感を感じてしまっている私なのですが、再度申し上げますと、私の研究なんかとは比べ物にならない工夫と苦労が詰まっており、20年以上前の著書にも関わらず、現在の教育現場にも多くの示唆を与える書であると言えます。是非、教室内の英語学力差に興味がある、困っている教員の方は読んでみて下さい。具体的な指導方法にも触れており、日々の指導にも役に立つ内容です。

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