心の野球-超効率的努力のススメ【書評】

世代が微妙にズレているせいと、少年時代を海外で過ごしていた影響があってか、最初はあの有名なKKコンビの凄さがイマイチ自分にはピンと来ませんでした。今はもちろん、様々な記録や映像からどれだけのインパクトがあって、当時どれだけ偉大な選手だったかは承知しております。後にも先にも高卒すぐのシーズンで20本ホームランを打つバッターは出てこないのでは無いかと思います。それでも清原は昔が凄かった選手(残念ながらこの評価でキャリアを終えてしまった感がありますが)というイメージでしたし、桑田は人気のある、まとまった良いピッチャー、という印象でした。

後から色んな背景や高校時代の活躍ぶりなど、そしてプロに入る経緯などを知りましたが、あくまでも表面的な、一般で語られる知識しか無いなかこの本を読みました。きっかけは、早大の修論を基に書き、その論文で首席(大学院でもこういう表現を使うのかイマイチ定かでは無いんですが)だったという文句をどこかで見掛けたからです。と言っても、別にアカデミックな本を期待して読んだわけではなく、純粋に野球選手として、アスリートとして名高い著者の考えに触れたかった、という理由です。

色んな個々の理論や考え方で「変わっている」という評価を受けることの多い著者ですが、この人はこの人なりに筋道を立てて論を展開しています。題名にもあるように、基本的には「努力」の「方法論」を中心に、桑田氏の豊富な経験に裏打ちされた考えが、丁寧な語り口で淡々と語られていきます。

まず第一に桑田氏は努力はただガムシャラに努力するのではなく、短期集中で継続的にやるべきだ、と説きます。そっちの方が遥かに効果的であり、効率的であるからだ、と。素振りを数多くこなすのではなく、50回だったら50回を集中して毎日繰り返すことの重要性を強調しています。これは、私も共感出来ますし、twitterでダルビッシュ有も「練習は嘘をつかない、は嘘。何も考えないで練習をしたら、練習は平気で嘘をつく。」という様な事を言っています。この「意識付け」が自分で出来るような選手、勉強だったら学習者は、伸びていくんだろうと思います。それだけでなく、「表」と「裏」両方の努力をしろと桑田氏は言います。「表」が野球を上手くなるための素振りや筋トレだとしたら、「裏」は直接その競技とか関係の無い努力、最近だとトイレ掃除がよく取り上げられますが、要はそのような事を指しています。この類いの「努力」の効果というのを未だに私は測りかねています。大事な事だとは思いつつも、なかなか生徒に対して徹底するに至らない点は私自身にあるんだろうと思います。

ここから部分部分をかいつまんで取り上げて行きます。

・「運動部員が授業中に寝ている光景は珍しくないが、周りの大人が配慮しつつそのような形にならないようにするべきである。」おっしゃる通り。自分自身が学生の時に出来ていたかと言うと恥ずかしい話ながら出来ていなかった。本人の意識が一番大事だが、授業を行う教員も常にそのような授業にならない努力を払うべきだし、学生の本分が疎かにならないようなサポートが必要なのだと考えます。

・桑田氏は指導者についても著書の中で触れています。自身も川崎の麻生ジャイアンツというボーイズチーム(小中の硬式野球チーム)を立ち上げそこで指導をしています。そして、指導者は「選手に教える」のではなく、「選手と共に考え、ともに歩む」存在であるべきだと説きます。このような結論に至った理由までは著書の中に詳しく書かれていなかったと思いますが、自分自身で考えて上達してきた桑田氏からこういう考えが出てくるのは意外なような気がしました。また、「ベストを尽くしてダメだったら仕方ない。むしろ、いかに悔いの無い様にベストを尽くすか、と言う事を伝えられる指導者になってほしい。」ことも述べています。

・「成長の法則」というものがある事を氏は言います。コツコツと練習をしていると、その分が徐々に積み重ねられていくわけではなく、ある日「ふっ」と一つの階段を昇るのだと言います。これも私自身も経験があって、自分が選手の時に、自分の投げる球がどうしても捕りにくいクセ球でそれを直したくて毎日自主練習をしていたら、一ヶ月経ったある日、ノックの最中にいきなりイメージ通りの球を投げることが出来たのです。こういことをが切っ掛けにして自主練習にまた力が入り、正のサイクルが回っていくのだと思います。

・たくさんある事の中で是非自分が新チームに再度徹底していきたいことを羅列します。

① 挨拶をしっかり出来るようになること。また何か言われた時の返事も然り。これはスポーツ以前に人間として大事なことであるから。

② 謙虚さを常に持つようにする。

③ そして自分自身の道具を大切にするようにさせる。特にうちのチームは裕福で甘やかされて育ってきた子が多いため、道具に対する執着みたいなのは皆無に等しい。

もっと挙げていきたいこともあるのですが、まずは私自身が印象に残った箇所を紹介してみました。興味が湧いたら是非ご自身で著書を確認して見て下さい。堅い専門書とか小説とはまた違う刺激をこういう本は与えてくれる気がします。外れも結構多いんですが、今回は割と共感出来る点も多かったので、私としては良い本だったと思います。文体も語り口調で理解しやすいですし。

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